季節を問わず、一番美味しいお茶を味わうために 「売茶中村」の挑戦【京都府宇治市】
平等院鳳凰堂のすぐ近く、京都府宇治市に来ています。
お茶屋さんの多く並ぶこの街で、窓から製茶の様子が見えるお店を見つけました。
ここは「売茶 中村(ばいさ なかむら)」。
nana's green teaのオープン以来、約20年にわたり、nana's green teaの日本茶を製造している、茶問屋「なかむら」さんがオープンした日本茶専門店です。
「売茶 中村」は2022年にオープン。
日本茶を味わえる喫茶スペースがあり、その隣に小さな製茶場を併設しているのが何よりの特徴です。
店内には、いろいろな機械が並んでいますね。
これがすべて、製茶のための機械。
本来であれば工場などにあり、大量のお茶を作る機械を、この店専用に小型化してもらったのだそう。
この機械が動く様子は、店舗入口横の窓や、店内から見ることができます。
皆さんは、手で揉んで仕上げたお茶の茶葉を見たことがありますか?
上の写真のように、細長く、ぴんとしっかり伸びているのが、手揉みの茶葉。
これにお湯を注ぎ、いつものようにお茶を淹れると……、
茶葉はこのように、一枚の葉っぱに戻っていきます。
このように欠けもなく綺麗に葉っぱのかたちに戻っていくのが、極上な茶葉の証。
「売茶 中村」の小さな製茶場に並ぶ機械では、こうした、手揉みで作ったような茶葉を製茶することができます。
例えば、水分を出すように、転がしながら揉む工程や、
茶葉ひとつひとつを細長くこより状に撚っていく工程、
茶葉の最後の仕上げまで、
手で行う製茶と近い動きを、機械で行うことができるんです。
けれど、お茶の状態は気候などによって毎日変わっていくもの。
どの工程をどの程度行うか、など細かな調整は、やっぱり人の目が必要です。
「売茶 中村」では、毎日こうして茶葉を製茶することから一日が始まります。
使っている茶葉は、なんと、いつでも新茶。
いちばん良いタイミングで蒸した状態の新茶を、特殊な技術で冷凍保存し、一年を通していつでも新茶を味わうことができるようにしています。
「新茶を使用した揉み立てのお茶」という、一番美味しい状態のお茶を、「売茶 中村」ではいただくことができるのです。
こうしたお茶は、本来ならば、新茶収穫時に製茶場で働く人だけが味わえた特別なもの。
この新鮮で一番美味しいお茶を、多くの人に味わってほしい! という想いが、「売茶 中村」の創業のきっかけなのです。
小さな製茶場には、手揉みで製茶するための台「焙炉(ほいろ)」もあります。
木製の台で、柿渋を塗った紙が貼ってある丈夫な台で、台の下から火を入れて使用します。
手揉みでの製茶は、茶葉の状態を見ながら揉んで揉んで……、仕上げるまで、6〜8時間ほどかかるのだそう。
手間はかかるけれど、茶葉に合わせて細かく調整し、お茶本来の味わいをしっかり閉じ込めた茶葉を作り上げます。
「売茶 中村」では、この焙炉を使用して手揉み茶のワークショップも行っていますので、ぜひ公式サイトもチェックしてみてくださいね。
私たちが日常的に飲んでいる日本茶も、じつはその製造工程を見たことがない、という人は多いのではないでしょうか。
お茶の魅力はこの製茶の工程から始まります。
お茶作りにかかる手間ひまや、そこから作り上げられる味わいを知ること。
お茶の魅力をもっと知って、もっと美味しく味わうために、「売茶 中村」では今日もお茶を作り上げています。
5月初旬は、「八十八夜」もある、お茶の季節。
新茶が出来上がるにはまだ時間がかかりますが、ちょうど新茶を収穫する季節なんですよ。
ゴールデンウィーク中のお出かけに、ぜひ「売茶 中村」にも立ち寄ってみてくださいね。
ここ「売茶 中村」は、nana's green teaの「nana's tea labo」としても機能しています。
中村さん、nana's green teaの代表・朽網が並んで、何かを始めるようです(写真右から)。
次回はここ「売茶 中村」から、nana's green teaのお店で使用する茶葉を選んで、味を作り上げていく模様をお届けします。
どうぞお楽しみに。
住所:〒611-0021 京都府宇治市宇治蓮華49
電話番号:0774-26-4082
営業時間:12:00 - 18:00
定休日:水・木曜定休
Instagram:@baisa_nakamura
「売茶 中村」のロゴは、「摘み取られたお茶の葉が、揉み込まれて茶葉になり、またお茶を淹れることで葉っぱの形に戻っていく」ことを表しているのだそう。
お茶の工程を知ることで、デザインのコンセプトもわかる、素敵なロゴですね。
ぜひ、「売茶 中村」に訪れて、実際の製茶工程を見てみてください。
またひとつ、お茶の魅力を感じられます。
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