【nana's green tea 2025年福袋】伝説を現代に受け継ぎ、未来へと繋ぐ 清水と技術で作り上げる越前和紙【福井県越前市】

 

今からおよそ1500年前。

清らかな川の上流に現れた美しいお姫様が、田畑の少ない地区の村人たちに紙漉きの技術を伝えました。

村人たちはこの女性を「川上御前」と呼び、紙祖神としてお祀りすることに。

この地区は現在でも、紙漉きの工房が立ち並ぶ、日本有数の和紙の産地です。

 

 

そんな伝説の残るここは、福井県越前市。

上の写真は「川上御前」を祀る里宮「岡太(おかもと)神社」「大瀧神社」の社殿です。

五箇地区(大滝町・岩本町・新在家町・不老町・定友町の5地区)では現在も、岡太川の周辺に和紙の工房が立ち並び、その清流を使って和紙を漉いていた名残が残っています。

 

 

この地区で漉かれる和紙を「越前和紙」といいます。

越前和紙は前述の通り、1500年近くの歴史を誇る和紙。

正倉院にある奈良時代の文書にも記録が残されているんですよ。

代々受け継がれてきた高い技術で、公文書に使用する純白で厚手の最高級紙「奉書紙」や、紙幣等に使用していた丈夫で艶のある「局紙」などを作ってきました。

 

 

2025年のnana's 福袋では、そんな越前和紙を使ったお茶缶をセレクト。

今回の記事では、「越前和紙」についてお届けします。

(次回の記事では、お茶缶に使用した「浮き紙」や、その製作元である「山次製紙所」についてお届けします)

 

さて、何気なく使う「和紙」という言葉。

一体どういう紙を指すのでしょう?

皆さまの想像する「和紙」はどういった紙でしょうか。

 

 

「和紙」とは、植物の繊維を取り出して、その長い繊維と、「ネリ」という植物性の粘液を混ぜ合わせて、「流し漉き」という技法で漉いた紙のこと。

この製法は日本で独自に発展したものなんです。

 

……といっても、少しわかりづらいですね。

それでは、ひとつずつ、分解して見ていきましょう。

 

 

まず原料は、植物の繊維です。

主に「楮(こうぞ)」「三椏(みつまた)」「雁皮(がんぴ)」といった樹木が使われています。

これらの枝を切り、蒸して皮を剥ぐと、なが〜い繊維が残ります。

この繊維を煮たり、塵を取ったり、叩いたり……そうした工程を経ることで、紙の繊維として使える原料になります。

  

  

漉きたい紙の質感によって、どの繊維を使うか、どういった配合で混ぜるかなどを決めます。

 

けれどこれだけでは、うまく紙を漉くことができません。

そこで今度は、この原料と植物性の粘液「ネリ」を混ぜ合わせます。

 

 

「ネリ」は、とろとろねばねばとした液体。

これはトロロアオイの根などを細かく潰して、抽出します(上の写真は、粘液を抽出して濾しているところ)。

トロロアオイはオクラの仲間ですので、オクラを切った時のねばねばを想像してもらうとわかりやすいかもしれません。

 

このとろねばの「ネリ」と繊維を混ぜ合わせて、ようやく紙を漉く準備が整いました。

「紙漉き」 と聞くと、このように……

 

 

 

大きな枠を水の中で揺らす光景を思い浮かべませんか?

これが「流し漉き」と呼ばれる技法を用いた紙漉きです。 

 

手に持った枠の底に敷いてあるのは、「簀(す)」。

伝統的には竹などで編まれており、細かな隙間が空いている、シート状のものです。

 

 

簀を敷いた枠(「簀桁(すげた)」といいます)を、紙料(たくさんの水の中に、先ほどの繊維とネリが混ざった液体を入れたもの)に入れて、ゆらゆらと揺らします。

そうすると水だけが簀を通り越し、ネリをまとった繊維は、簀の目を通り抜けられずに枠の中に残ります。

何度もこれを繰り返すことで、長い繊維同士が絡み合い、それが重なっていって、目的の厚さの紙を漉きあげることができます。

 

(写真は、たくさんの水に「ネリ+繊維」が混ざった状態のもの) 

 

じつは先ほど混ぜた「ネリ」、この工程の際に、均一に繊維を広げる役目を果たしているんですよ。

また、簀を通り抜けていく水の速さを調整する役割もあります。

ネリを入れることで、簀桁をゆらゆらと動かして紙の厚さを調整する際に、通り抜ける水の流れを遅くし、厚さを均一にしやすくしているんですね。

 

 

こうして漉き上げた紙は、重ねて、重石を乗せて絞り、水気を切ったのち、一枚ずつ板に貼り、乾かして仕上げられます。

 

(重ねた紙を絞っているところ)

 

こうしてできあがった紙が、「和紙」です。

この作り方は古くから用いられており、伝統的に受け継がれてきました。

 

そして、こうして作られた和紙の特徴は、薄くて丈夫なこと。

筆を使って墨で筆記するのに、とても向いている紙質なんですよ。 

 

(お茶缶は、どれか一色がお手元に届きます。お楽しみに)

 

和紙について、ちょっと詳しくなれたでしょうか。

主にこうした材料と技法で、越前地方にて作られている和紙が「越前和紙」と呼ばれます。

2025年の福袋でお届けするお茶缶は、こうして一枚ずつ手で漉かれた越前和紙を使用しています。

 

……でもちょっと待って?

このお茶缶に貼られた越前和紙、ちょっとでこぼこしていませんか……?

 

 

この紙は「浮き紙」と名付けられた手漉き和紙。 

模様の凹凸が特徴の「浮き紙」は、越前市大滝町に位置する「山次製紙所」さんのオリジナルの技術で作られています。

 

いったいどのように「浮き紙」は作られているのでしょうか。

また、和紙工房ってどんなところ?

……そんな「山次製紙所」さんからのレポートは、次回の記事にて。

 

  

 

nana's green tea 2025年福袋。

手漉き越前和紙のお茶缶が入っているのは¥8,500セットのみです。

これからひとつずつ商品の紹介をしていきますので、実際の商品と合わせて、nana's journalの記事もお楽しみに。

ひとつひとつの商品が、きっともっと素敵に楽しめますよ。

  

<nana's green tea 2025年福袋>

各店舗でのご購入について詳しくはこちら

公式オンラインストアでも販売します。

 

 

 

越前和紙を知る「越前和紙の里 卯立の工芸館」

住所:福井県越前市新在家町9-21-2

開館時間:午前9時30分~午後5時

※紙漉き見学は午後4時まで、入館は午後4時30分まで

休館日:年末年始 毎週火曜日

入館料:大人¥300(団体の場合¥200) 高校生以下無料

※障害者手帳等をお持ちの方は通常の半額

TEL:0778-43-7800

公式HPはこちら。 

 

 

 

「山次製紙所」

公式HPはこちら・公式Instagram(@yamatsugi_seishisyo

各種商品のご購入は山次製紙所の公式オンラインストアから

 

 

  

pick up

mail magazine