もっと知りたいお茶のこと ③やぶきた
もっと知りたいお茶のこと、第三弾は「やぶきた」について。
「やぶきた」という名前、聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
お茶の品種の代表格として知られています。
栽培されている全ての日本茶の品種のなかで、約78%もの割合を「やぶきた」が占めているんですよ。
そんな「やぶきた」の始まりは、明治41年(1908年)に遡ります。
場所は静岡。
杉山彦三郎という方が、竹藪の裏手でお茶の栽培を始めました。
この頃は「実生(みしょう:種から育てる)」で栽培しながら、チャノキの育ち方や、実際の味わいを見て、良い品種を選抜していたのだそう。
そのようにして、いろいろな品種を育てるうちに、杉山は、畑の中の2種類の品種がとても品質が良いことに気が付きます。
その2種類は、竹藪の北側で育てていた品種と、竹藪の南側で育てていた品種です。
そう、「やぶきた」は漢字で書くと「藪北」。
竹藪の北側で育てられていた方の品種で、命名の理由がとても素直ですね。
ちなみにもうひとつの品種は、もちろん「やぶみなみ(藪南)」と名付けられています。
その後、「やぶきた」「やぶみなみ」に絞って栽培され、より優秀な品種「やぶきた」を、さらに品種改良していきました。
杉山は、「やぶきた」以外にもたくさんの優良品種を生み出し、昭和16年(1941年)に亡くなります。
杉山の死後、昭和20年(1945年)に、「やぶきた」は静岡県の奨励品種に指定、さらに昭和28年(1953年)には農林水産省の登録品種に指定されたことをきっかけに、全国に普及していきました。
「やぶきた」は、霜などの寒さに強く、どのような土にもよく根をはるのだそう。
また、製茶した時の香りや色も良く、甘みと渋みのバランスが良い味わい。
育てやすさと、味わいの良さが両立しており、生産者・消費者のどちらにも嬉しい品種なのですね。
さて、全3回にわたって連載してきた「もっと知りたいお茶のこと」。
日本茶について、ちょっと詳しくなれたでしょうか。
私たちの生活の中に、あたり前にある「お茶」。
「お茶」のことをちょっとだけ詳しく知って、毎日のお茶時間をもっと豊かに。
ナナズジャーナルでは、これからもそんな記事を掲載していきますので、ぜひお楽しみに。
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